アナログメーター(電気計測器)は、電流、電圧、温度などの測定値を針を用いて表示する計測器です。この記事では、アナログメーター(電気計測器)の原理、種類、利点、そして現代におけるその重要性について掘り下げていきます。
1.アナログメーターの原理
アナログメーターは、基本的にコイルや磁石、メカニカルな機構を使用して測定値を表示します。技術的にはガルバノ方式と呼ばれるものです。測定する際には、測定対象とメーターを接続することで電圧に比例した電流が流れ、その電流に応じて針が計測値が印刷されたスケール板の上を動きます。学校の授業で習ったオームの法則を思い出して頂くとよいかと思います。このシンプルなメカニズムが、直感的で即時の読み取りを可能にしています。このような原理により、アナログメーターは信頼性が高く、正確な測定結果を提供します。
かつては自動車の速度メーターにもこのガルバノ方式のアナログメーターが採用されていましたが、今ではその多くがデジタル式または針で動くのは変わらないものの、ステッピングモーター方式へと変わりました。
2.アナログメーターの種類
アナログメーターには、様々な種類がありますが、主なものは次の通りです。これらはパネルメーターという名前で一括りにすることもできます。パネルメーターはその名の通り、機器の前面パネルに取り付けられ、システムの状態やプロセスのパフォーマンスをオペレーターに直接示すように設計されています。パネルメーターには可動コイル方式と可動鉄片方式の2種類があり、それぞれ測定したい測定値・その大小・目的により使い分けます。
・電圧計(ボルトメーター)
電圧を測定するために使用されます。低抵抗を持ち、測定対象と並列に接続します。
・電流計(アンペアメーター)
電流を測定するために使用され、高抵抗を持ち、測定対象と直列に接続します。
・オームメーター
抵抗を測定するために使用されます。特定のテスト電流を抵抗に流し、その電圧降下を測定することで抵抗値を求めます。
・VUメーター
VUメーター(Volume Unit Meter)は、オーディオ機器において音声信号のレベルを視覚的に表示するアナログ計測器です。
・メーターリレー
アナログメーターにリレー機能が追加された計器です。メーター部分が測定値をアナログ表示し、その測定値がユーザーによって設定された特定の範囲またはポイントに達すると、リレーが作動します。このリレー作動により、接点が閉じたり開いたりして、アラームの鳴動、装置のオン/オフ、その他の制御動作が行われます。
3.アナログメーターの利点
アナログメーターには、いくつかの利点があります。直感的な読み取り:針の動きは、測定値の変化を直感的に理解するのに役立ちます。例えば、電圧の微妙な変化やトレンドを瞬時に把握できます。
・電源不要:多くのアナログメーターは、測定対象からの電力で動作するため、外部からの電源を必要としません。これにより、電源がない場所でも使用できるという利点があります。
・高い耐久性:アナログメーターはシンプルな構造のため、電子部品が少なく故障が少ないです。そのため、厳しい環境下や長期間にわたる使用に耐えることができます。
4.現代におけるアナログメーターの重要性
昨今、デジタル技術の進歩に伴い、多くの分野ではデジタルメーターが主流となっています。しかし、アナログメーターは今でも多くの産業で重要な役割を果たしています。航空機、特殊自動車、電車、船舶、重電、配電盤、現場測定器といった業界で幅広く活躍しています。特に、即時の判断が求められる場面や、電源が限られている環境では、その直感的な読み取りや電源不要の特性が大きな利点となります。
また、教育の現場では、理科の授業で基本的な電気測定の原理を学ぶための教材としても依然として重要です。アナログメーターを用いることで、学生は物理量とその測定値の関係を直感的に理解することができます。他にもかつてはあらゆるオーディオに針のアナログメーターが採用されていましたが、今でも高級オーディオの領域では針のアナログメーターが求められ、凝った現代風のデザインのアナログメーターが搭載され、世界中の富裕層に愛されています。
5.まとめ
アナログメーターは、その歴史とともに発展してきた計測技術の基礎をなすものです。
現代においても、その直感的な読み取り、電源不要の特性、高い耐久性は、多くの場面でデジタルメーターには代えがたい価値を提供しています。科学技術の進展と共に、アナログメーターの重要性は変わらずに、私たちの生活と産業界において不可欠なものとして存在し続けるでしょう。
扶桑計測器は創業以来このアナログメーター・アナログ計測を多種多様な業界に提供し続けてまいりました。引き続きアナログメーターを使いたい、アナログ技術をベースにした新しいデザインのメーターを開発したい等のお声にお応え致します。