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2024.06.28

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電気計測の基本!可動コイル形メーターの仕組み

以前の記事で可動コイル形計器の概要について触れましたが、本記事では更にその仕組みに焦点を当てた深堀を行いたいと思います。可動コイル形計器は、磁石と可動コイルの相互作用によって動作し、電流が流れることでコイルに発生する電磁力がトルクを生み出し、針を動かして測定値を示します。この種の計器は主に直流電流の測定に用いられ、交流には対応していません。可動コイル形計器は、磁場中で電流を流れるコイルが物理的に動くことにより作動します。この動作は、流れる電流の方向に依存します。交流の場合、電流は定期的に方向を変えるため、コイルが一方向に安定して動かないことになります。このため、コイルは振動するだけで、一定の位置に留まらず、正確な測定ができません。尚、交流を測定するためには、整流器を使用して、交流を直流に変換するのが最も一般的な方法です。整流器で交流信号を一方向のみの流れに変換し、それを可動コイルメーターで測定します。可動コイル形計器は、そのシンプルな構造から正確な測定が可能であり、特に直流回路での電流測定に適しています。

 また可動コイル形計器は一般的に入門用や教育用途にも利用され、電気の基礎を学ぶ際に重要な役割を果たしています。このように、可動コイル形計器は電気計測の重要なツールであり、その仕組みや特性を理解することで、正確な電流測定や基礎的な電気理論の習得に役立ちます。そのため、本記事では可動コイル形計器について更に詳細に解説し、読者がその原理や使い方をより深く理解できるように情報を提供していきます。

■動作原理
可動コイル形計器の動作原理は、磁石(マグネット)による磁界内で軸の周りに配置された可動コイルに流れる電流が発生し、これにより電流と磁界の間で発生する電磁力がトルクを生じさせる仕組みです。この原理に基づいて、可動コイル形計器は電流や電圧などの電気量を正確に測定するために使用されます。具体的には、電流が可動コイルを流れると、磁界との相互作用によってコイルにトルクが発生し、これにより針が動いて目盛りに対応した電流値や電圧値を示すことが可能となります。この仕組みによって、可動コイル形計器は安定した電気信号を観測する際に広く利用されており、工学や物理学の分野で重要な役割を果たしています。また、この原理を応用し、精密な電気計測が可能なため、産業現場や研究室などで信頼性の高い計測を行うのに適しています。したがって、可動コイル形計器はその動作原理により、幅広い分野で信頼性の高い電気測定器として利用されています。

■磁器回路
可動コイル形計器は、永久磁石による磁束と可動コイルに流す電流との電磁力を活用する装置であり、電気エネルギーを機械エネルギーに変換するため、磁気回路が性能に与える影響は大きいです。磁気回路に要求される条件には、空隙内の磁束が均等に分布し、必要な磁束が確保され、外部磁場からの影響が少ないことが挙げられます。特に、可動コイル形計器では均等な目盛りを実現するために、空隙内の磁束の均一性が重要視されます。時系列回路は一般的に外磁型と内磁型に分類され、これらの形式が広く利用されています。外磁型は内部に磁石(マグネット)を配置し、磁束がコイルによって変化する構造を持ちます。一方、内磁型はコイルが内側にあり、外部磁界からの影響を受けにくい特性がある。このように、可動コイル形計器の設計や性能向上には、磁気回路の構造や特性を理解し、適切に制御することが不可欠です。

■外磁型
外磁型とは、可動コイルの外側に磁石(マグネット)を配置し、磁束が外部から供給される方式を指します。外磁型の利点と欠点を総合的に考慮する必要があり、特定の用途や設計条件によって適切な選択を行うことが重要です。

【利点】
・磁石材料の選定及び設計が自由
・高いギャップ磁束密度が得られ、高感度計器に適している
・構造上、着磁・減磁が容易なので作業性が良く、また製造コストが抑えられる

【欠点】
・外部磁界の影響を受けやすく、配電盤用計器では鉄パネルに取り付けると感度に変化が生じやすい。
・磁束の漏れが多く、内磁型に比べて磁石の能率が悪い
・磁石(マグネット)のサイズが大きく、重い。また、マグネット(アルニコ磁石)の原材料となる、アルミ・ニッケル・コバルトのコストが近年上昇しており、マグネットのサイズが大きい外磁はより割高になる。

■内磁型
内磁型は可動コイルの内側に磁石を配置し、そこからギャップに磁束を供給します。磁石(マグネット)の外周には、ギャップ磁束密度を均等にするための軟鉄製の磁極片(ポールシュー)が取り付けられています。内磁型の利点と欠点を総合的に考慮する必要があり、特定の用途や設計条件によって適切な選択を行うことが重要です。

【利点】
・外部磁界及び鉄パネルの影響を受けにくいです。
・磁束も漏れが少なく、磁石(マグネット)の効率が良いので小型・軽量になります。磁石(マグネット)が小型ゆえに、磁石(マグネット)が大きい外磁より割安になります。
・小型ゆえにメーターの筐体設計の自由度が高くなります。

【欠点】
・磁石(マグネット)の能率は良いが、磁石の長さ、コイル枠の幅以内に制約されますので、高いギャップ磁束を得るのが難しくなります。
・外部磁界の影響を受けにくいので、減磁が外磁型に比べると難しくなります。

■まとめ
可動コイル形計器はアナログメーターでも基本的かつ一般的な方式で、幅広い分野で利用されています。このタイプの計器には、外磁タイプと内磁タイプの2種類があり、それぞれ異なる特性を持つことはこれまで述べた通りです。外磁タイプは可動コイルの外側にマグネットを配置し、内磁タイプは可動コイルの内側に磁石(マグネット)を配置します。両者にはそれぞれ長所と短所があり、どちらが優れているとは一概には言えません。構成部品も当然異なりますし、製造方法も微妙に異なりますので、アナログメーター(電気計測器)のメーカーの中には外磁だけしか作らない、または内磁だけしか作らないといったメーカーもあります。

 扶桑計測器では両方式のアナログメーターを長年製造してきましたので、お客様のニーズに適した製品を提供することが可能です。このように扶桑計測器は柔軟性と幅広い製品ラインナップを保有しており、顧客の多様な要望に迅速かつ適切に対応できることを強みとしています。アナログメーターでお困りごとがありましたら、お気軽にご相談頂ければと思います。